仕事につながる好きなもの

キャリアや仕事をテーマにするところでよく見かける「好きを仕事に」という言葉。正直私はこの言葉が好きではありません。

私はワイン屋なので、もしかしたらワインが好きで仕事にした、と思われる方もいるかもしれないですし、そう言えばカッコいいのかもしれませんが、私はそういうこととは少し違っていて。。。なので、今回はそのことに触れてみたいと思います。

店舗を持たないワイン屋「みたてワイン」・ワインフィッター®︎の澤和晃子です。

実はワインフィッターという仕事に出会うまで、自分がワインを仕事にするなんて思ってもいませんでした。

ただ自分らしい仕事や自分が納得してできる仕事というものが何なんだろうと、そのことはずっと考えていて。その思いがようやく見えてきた時に、今の働き方に出会いました。

言葉の捉え方次第だと思いますが、「好きを仕事に」というメッセージの多くはキラキラしたイメージを与え、好きなことを仕事にすることで人生もっと楽しくなるよ!みたいな、発信側から軽いニュアンスで伝えらえた言葉なのに、受け手側はそう捉えることができず、「自分の好きって何なんだろう。。」と考えすぎたり、「やっぱり好きなことを仕事にした方がいいのだろうか…。」と案外重く受け止めてしまう場合が多いように感じます。

そうして、好きなことを仕事にするのがいいこと、という意味に受け取ったことで苦しむ人たちをたくさん見てきたことや(前職がキャリアカウンセラーだったので)、何より自分自身も「好きなことを仕事にしなければ!」と思い込んでいた時期があったので、好意的に受け取れないのだと思います。

最近はワークスペースの特集が大好き。

好きなことを仕事にできるかどうか、の答えは分かりませんが、ただ好きなことを仕事に繋げることはできるのではないか、と思っています。

ちなみに、私はインテリア雑誌に目がありません。小学生の頃から自分の部屋をあれこれ考えたり、模様替えが大好きでした。雑誌で好きな空間を見つけては切り抜いて、自分のファイルを作って楽しんでいた子供時代。

それは大人になった今もずっと継続していて、自宅や店の内装を考える時にそのファイルがとても役立ったのですが、どんな時も自分の好きなイメージやその時の気分などに合わせて、自分が心地よく過ごせる空間を作ってきたように思います。

自宅のキッチンはデザインがお気に入り。

今から15年ほど前、社会人になって少し経った頃に「好きなことを仕事にしたい。」そう思ってインテリアデザインを学び、オフィスの内装デザインに関わる仕事に就いたことがありました。ですが、うまく自分の仕事にすることができませんでした。

原因はいくつかありましたが、好きなことを仕事にすることが大事なこととは限らない。そのことに気づいたことが一番大きかったように思います。

仕事内容以上に、自分にとってのやりがいや一緒に働く人たちとの関係性、職場環境、自分の時間や家族との時間など、大切にすべきことがあると身をもって感じて、やりたい(と思っていた)ことを手放すことを決めました。

その経験がひとつの転機となり、「今自分にできることをやっていこう。」と素直に思たことで、その後キャリアカウンセラーという仕事とご縁ができ、今のワインフィッターという仕事にもつながっています。

当時はやりたいことが叶わず落ち込みましたが、「やりたいことを仕事にすべき」という思い込みを手放せたことで、仕事で大事にしたいこと(好きなこと)がよく分かりました。

例えばインテリアが好き、ということで言えば、私の場合は誰かの理想とする空間を作りたかった訳ではなく、自分が心地いいと思える空間で過ごしたいという気持ちが強い。その為に知識を得たり、あれこれ考えながら実践するのが好きだったんです。

今の自宅兼仕事場は、自分好みにリノベーションした空間。好きな場所で仕事をしたいという思いが私の働き方の一つの要素となり、好きなことを仕事に取り入れることができています。

自分の空間が欲しいと思っていたら、家族にいいよと言ってもらえてできた仕事部屋。

好きなことを仕事にできれば、それは素敵なことだと思います。ただそれはできる場合もあるし、そうでない場合もある。けれど、本当に好きなことは、自然とその人の仕事や働き方の中に出てくるものではないでしょうか。

私の場合は、自分が好きな空間で働くこと、自分が考えたことを直接提案できること、価値観を共有できる人たちと出会えること。この3つが大事なのですが、それが実現できそうだなと感じたことが、ワインフィッターを選んだ理由だと思っています。

こんな感じで、今ようやく自分にとって大事なことが見えてきたなと思えている訳ですが、とはいっても働き始めてから何年かかった??という位、見つけるまで時間がかかっています。。自分のことなのに、何でこんなに分からないのでしょうか。。。

やってみては修正、そしてまた修正。そんな感じで進んできて今の私がありますし、今見えていると思っていても、それはまた変わっていく可能性もきっとあります。。まあ、ずっと変わらないものなんて無いと思いますし、働いている以上はずっと考えていくことなんだと思っています。

そしてこの自分の好きなものや大事なことを見つけることって、実はワイン選びに関しても通じることが多くて。。。と、お話したいことはまだあるのですが、長くなったのでこの続きはまた改めて書きたいと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!

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